キナーゼ阻害剤のネクサバール(ソラフェニブ)について、有効性や安全性、具体的な使用法や臨床試験をご紹介します。
【ご注意】
2018年11月27日時点の情報です。
最新情報は添付文書等をご覧ください。
参考資料
- 添付文書
- 適正使用ガイド
- 総合製品情報概要
- がん診療レジデントマニュアル
Contents
【DI情報】ネクサバール(ソラフェニブ)の基本
ネクサバールは抗悪性腫瘍剤(キナーゼ阻害剤)です。
細胞増殖や血管新生に関与する、様々な増殖因子の受容体型キナーゼを阻害することにより、腫瘍細胞増殖抑制効果ならびに腫瘍血管新生阻害効果を発現します。
ネクサバール(ソラフェニブ)の保健適応
- 根治切除不能または転移性の腎細胞癌
- 切除不能な肝細胞癌
- 根治切除不能な分化型甲状腺癌
ネクサバール(ソラフェニブ)の用法用量
通常、成人にはソラフェニブとして1回400mgを1日2回経口投与する。
なお、患者の状態により適宜減量する。
用法用量に関連する注意事項
ネクサバールの減量方法は適応によって異なります。
*)具体的な用量は添付文書をご参照ください
副作用等により減量する場合は、適応疾患を確認することが大切です。
ネクサバール(ソラフェニブ)の禁忌
- 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性
腎機能障害のある患者への投与
ネクサバールの薬物動態に及ぼす腎機能の影響を評価する海外第Ⅰ相試験において、軽度の腎機能障害(Ccr50 ~ 80mL/min)、中等度の腎機能障害(Ccr30 ~ <50mL/min)および、重度の腎機能障害(Ccr<30mL/min)を有する被験者に、ネクサバール400mg を単回経口投与した場合、腎機能低下によるネクサバールの薬物動態への影響はみられませんでした。
しかし、腎機能障害患者における連日投与による副作用発現への検討は行われていないため、十分な注意が必要と考えられます。
なお、透析患者に対する有効性、安全性は確立していないため、現時点では投与は推奨できません。また、中等度の腎機能障害のある患者においては、忍容性が低いとする海外での報告があります。
バイエル
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ネクサバール(ソラフェニブ)の薬理作用
細胞増殖に関与するMAP(Mitogen Activated Protein)キナーゼ・シグナル伝達経路の構成分子であるRAF キナーゼ、ならびにVEGFR(VascularEndothelial Growth Factor Receptor)などの血管新生に関与する増殖因子の受容体型キナーゼを阻害することにより、腫瘍細胞増殖抑制効果ならびに腫瘍血管新生阻害効果が期待されます。
バイエル
細胞増殖抑制作用(RAFキナーゼ阻害)
ネクサバールは、細胞増殖に関与する『MAPキナーゼ経路』を阻害します。
とりわけ『Raf』と呼ばれるタンパク質を阻害することで、細胞増殖を抑制すると考えられています。
血管新生抑制作用(VEGFR阻害)
血管新生に関与するとされる、『VEGF受容体』や『PDGF受容体』の活性化を抑制することで、血管新生を抑制します。
腫瘍に栄養を取り込むための血管の新生を阻害することで、抗腫瘍効果を示すと考えられます。
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ネクサバール(ソラフェニブ)の副作用
ネクサバールの内服によって、多様な副作用が発現する可能性があります。
服薬コンプライアンスを向上させるには、副作用を早期に発見し、減量や休薬、支持療法(副作用止めの薬を使う)などの副作用マネージメントを行うことが大切です。
代表的な副作用をご紹介します。
手足症候群
手のひらや、足の裏に『チクチク感』や『ヒリヒリ感』が発現したり、皮膚のほてり感や、発赤、角質が厚くなるなどの症状が発現します。
悪化すると、水膨れになったり、皮膚がはがれたりすることもあります。
内服後1~2週間後に出やすい副作用です。
服用開始から2ヶ月程度は、特に注意する必要があります。
*)それ以降も皮膚の変化には注意しましょう
手足症候群の予防方法
物を強く握ったり、皮膚を激しくこすったりするような、手足への過剰な刺激を避けましょう。
保湿剤等を使って、普段からスキンケアを行うことが大切です。
高血圧
ネクサバールの投与によって血圧が上昇することがあります。
血圧を測定する習慣をつけましょう。
消化器症状
下痢の副作用が発現しやすいので、注意が必要です。
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ネクサバール(肝細胞がん)の臨床試験:SHARP試験
参考文献
Sorafenib in Advanced Hepatocellular Carcinoma
ソラフェニブの、進行性肝細胞癌患者における有効性及び安全性を評価する目的で行われた、第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ対照試験がSHARP試験です。
試験方法・デザイン
全身化学療法による治療歴がなく、外科的切除不能又は局所療法が適用されない肝細胞癌患者602例をソラフェニブ群もしくはプラセボ群に無作為に割り付け。
299例がソラフェニブによる継続治療を受け、303例がプラセボの投与を受けた。
主要評価項目は全生存期間、臨床症状悪化までの期間、副次評価項目は、病勢進行までの期間、病勢コントロール率など。
結果:OS(全生存期間)
全生存期間(中央値)はソラフェニブ群でプラセボ群に比較し有意に延長した。
(10.7ヵ月 vs 7.9ヵ月, ハザード比(HR): 0.69 [95%CI, 0.55-0.87; p<0.001])
Sincerely,
Hitouch
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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
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