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【医薬品流通の闇】薬剤師なら知っておきたい医薬品流通の話:第3話

*)製薬大手3社の株価チャート

 

こんにちはHitouchの「T」です。
@hitouch_life

 

医薬品流通から見る医薬品メーカー・医薬品卸・調剤薬局の未来

 

こんな大々的なタイトルをつけて、第1話、第2話と話を進めてきました。

まだ読んでない方はこちらから

 

医薬品の流通には、製薬メーカー、医薬品卸、医療機関が関わり、エンドユーザーである患者へと薬が届けられます。

 

医薬品は一般的な“モノ”とは違い、商品価値を決める事が難しいです。

 

なぜなら、ヒトの生命はお金には換算できないから。

 

しかし、医薬品の流通自体は、一般的な“モノ”の流通と同じようなスキームが構築されており、安く仕入れて高く売る事で利益を得る事ができます(これを薬価差益と呼ぶ)

 

更に、大量に仕入れることで、仕入れ価格を抑える事ができます(数量値引き)

 

大量に仕入れ安く買う事

 

少しでも高く売る事

 

これは経済活動において当たり前のことです。

 

しかし、安く仕入れられる薬が、患者にとって最高の処方かというと、必ずしもそうではありません。

 

大量に買うことで値引きが出来る

 

値引きが出来る事で儲かる

 

モノの取引における当たり前の経済活動が、医薬品流通に応用されることで、生命倫理を脅かす事になります。

 

一方で、医薬品の情報提供を担う製薬メーカーのMRは、医薬品の納入価格(卸→医療機関の価格)に関与することができません。

 

これによって、現場の医師は、経済性ではなく生命倫理に基づく処方選択が行いやすくなります。

 

しかし、製薬メーカーのMRではなく、卸担当者であるMSは価格の交渉が可能です。

 

卸担当者が行う情報提供活動には、価格に関するバイアスが含まれている可能性があります。

 

うしくん

悪意のあるなしに関わらず、偏った情報を提供すれば、それは処方選択に影響を与えることになるよ。

 

医薬品卸には、製薬メーカーからアローアンス(報奨金)が支払われています。

 

つまり、医薬品卸としては・・・

 

アローアンスが良いメーカーの薬を売りたいですよね?

 

これも当たり前の経済活動です。

 

当たり前なんだけど・・・

 

誰も悪くないんだけど・・・

 

医薬品流通に経済性を持ち込んでしまう事が、生命倫理との利益相反となります。

 

*)本記事は姉妹サイト(HitouchLIFE)の記事を一部改変したものです

 

製薬メーカーが売りたいものは?

製薬メーカーは少しでも自社医薬品が売りたいです。

 

当たり前です。

 

世界の人々を痛みから救いたいという願いを込めて、日夜創薬に励み、やっとのことで完成した医薬品です。

 

医薬品が出来るまでには何十億円、何百億円というお金がかかります。

 

なぜそうまでして医薬品を創るのでしょうか?

 

それはもちろん世界の人々を幸せにするためです。

 

製薬メーカーというのは、人の健康のために、ものすごいリスクをかけて医薬品開発をしています。

 

そんな我が子のような医薬品を、少しでも活用してほしいというのは、当たり前の事です。

 

 

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医薬品卸が売りたいものは?

医薬品卸は、流通を通して医療に貢献しています。

 

医薬品卸が毎日(土日祝日であっても)活動を続けることで、日本全国に薬が届きます。

 

いくらスーパードクターであっても、薬がなければなにもできません。

*)気功を送ったりできるのであれば別ですが・・・

 

点滴1本打つのにも薬がいります。

 

注射の針だってありません。

 

注射をするための消毒だってありません。

 

うしくん

・・・これは脳梗塞ですね。

脳梗塞っていう事は分かるのですが、今は薬がないからどうしようもできないですね。

 

*)こんな事許されないですよね。

 

医薬品卸が時間をかけて構築した、日本中に張り巡らされた流通網によって、今日も医療が当たり前に行われています

 

こんな重要な任務を担っている医薬品卸は民間企業です。

 

利益がなければつぶれてしまいます。

 

医薬品卸がつぶれるという事は?

 

当たり前の医療が、当たり前に行えないという事になります。

 

うしくん

だって薬が届かないんだもん!!

 

医薬品卸は一般的な企業と同じように、儲ける必要があります。

 

少しでも儲かる薬を売りたいと考えます。

 

アローアンスが支払われるメーカーの薬を売りたいと考えます。

 

これは当たり前のことです。

 

医薬品卸はボランティアではありません。

 

彼らは医療の為に存続し続ける必要があります。

 

 

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医療機関(病院・薬局)が売りたいものは?

医療機関が売りたいものは・・・??

 

患者の痛みを緩和するための医療サービスです。

 

医師も看護師も、相当な努力して国家試験に合格しています。

 

患者を救いたい、少しでも元気になってほしい、そういう想いで治療をしています。

 

医療法人は営利目的の民間企業とは一線を画す存在です。

 

とはいえ・・・

 

一般的な医療機関には、地域医療の永続性を確保するという重大な使命があります。

 

医療を存続させるためには資金が必要です。

 

もちろん、医療法人には資金が集まりやすい仕組みにはなっています。

 

しかし、急速に訪れた医療の高度化や深刻な医師不足、加速する高齢化によって、医療に必要なコストが増加しています。

 

この急激な変化に対応できない病院は、医療を存続させるために、なりふり構わず稼ぐ必要性がでてきます。

 

すると・・・

 

本来の医療の在り方とは異なるのかもしれませんが、医療機関が薬価差益の確保という経済性を優先する行動をとっても、何ら不思議ではありません。

調剤薬局は民間企業

加えて、文字通りの『薬』を提供している調剤薬局は民間企業です。

 

調剤薬局大手である、日本調剤【3341】の時価総額は570億を超えています。

*)2019年1月21日記事執筆時

 

この規模の企業が、数量値引きを利用した場合の薬価差益は莫大なものになります。

 

調剤薬局が薬価差益確保のために医師の処方に介入するとなると・・・

 

うしくん

そんなことってあるの!?

 

・・・なんて心配をする必要はありません!!

 

医薬分業が正しく行われてさえいれば、調剤薬局の薬剤師は医師の処方箋に基づき調剤するのが仕事です。

 

医師の処方選択に介入できるわけではありません。

 

もちろん、疑義照会等の生命倫理に基づく処方介入は可能です。

 

しかし・・・

 

うしくん

町を歩いてクリニックを見てみましょう!!

 

そこには、仲良く並んで調剤薬局が併設されています。

 

うしくん

本当に彼らは医師の処方に介入していないのだろうか?

儲けられる薬を勧めていないのだろうか?

 

・・・謎は深まるばかりです。

 

・・・

 

・・・

 

なんて事を考えるのはやめましょう。

 

全国の薬剤師に失礼です。

 

彼ら、彼女らは、患者の痛みを緩和するために、日々奮闘しています。

 

調剤薬局も立派な医療機関です!!

 

調剤薬局が行っている仕事もまた・・・医療です!!

 

 

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医薬品とはモノか?情報か?

医薬流通は『モノの取引』です。

 

そこには売買利益が発生します。

 

これは当たり前のことです。

 

流通によって生じる利益は、医療の基盤を支える大切な資金です。

 

一方で、多くの臨床家(現場の医療スタッフ)にとって医薬品とは情報です。

 

臨床家が薬の名前を聞いて思い浮かべる事は、その薬の効果や副作用です。

 

その薬のビジュアルや薬価には「ぶっちゃけ興味がない」という臨床家も多いです。

 

こうあってこそ医療だと思います。

 

医薬品流通と、薬物療法は切り離されて行われるべきだと思いませんか。

 

・・・

 

・・・

 

・・・知らんけど。

 

 

次回の最終話では、医薬品流通による悪しき習慣を断ち切る!?べく設定された、『医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン』によって、医薬品流通がどのように変化し、それによって医療がどのように変わるのか?という事を考えてみたいと思います。

 

*)この記事はあくまでも僕の私見です。

 

Sincerely,

Hitouch『T』

 

 

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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
医療・投資・自己啓発系のライティングを得意とする医療ライター
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ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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