「介護の仕事は好きだけど、長い時間は働けない」
「今は別の仕事をしているけど、時々介護の仕事もやってみたい」
「介護士資格は取ったものの、実務経験がないから自信がない」
このように介護の仕事に就きたいけれど「自分にできるか不安」とか「適度に働きたい」という人は多いのではないでしょうか。
あまり負担なく介護の仕事がしたいという方は、通院介助の仕事がおすすめです。
通院介助とは、家族に代わって通院の付き添いをするサービスです。
本記事では通院介助の仕事に需要はあるのか、具体的にどんなことをするのかを紹介します。
併せて未経験でもできるのか、どんな人が向いているのかもくわしく解説するのでぜひ参考にしてください。
通院介助の需要が高まる理由
現在、家族介護のために仕事を辞める介護離職の経済損失は年6500億円に上るといわれており、介護と仕事の両立は社会の大きな課題になっています。
家族介護をする人の中には「介護のために仕事を辞めるのはリスクがある」と考える人は少なくありません。
企業側も人材流出を避けるため、介護休暇や時短勤務などの制度を整え、会社を辞めずに介護をしながらでも働ける環境作りに努めています。
さらにはテレワークが普及し、コロナ前と比べ個人が介護にかけられる時間も増えています。
こうしたさまざまな社会状況の変化により、介護と仕事の両立を目指す人は徐々に増えています。
そんな中、求められているのは、介護の負担を一部肩代わりする仕事です。
介護の中でも通院の付き添いには、時間がかかります。
半日以上かかることもめずらしくありません。
それが月2回ともなると毎回仕事を休むのも難しくなります。
「家族ができないところは人に頼みたい」
こうした需要が高まり、通院の付き添いを外部に委託したいと考える人が増えています。
そしてこの流れは今後も続くものと考えられます。
通院介助が未経験者でもOKな理由
通院介助の仕事に必須なのは、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上の資格です。
普通自動車二種免許があれば介護タクシーの仕事もできるので、仕事の幅がさらに広がります。
介護職の求人を見ると通院介助に特化した募集を目にします。
そして募集内容には「自分のペースで働ける」「未経験者OK」という文言を多く見かけます。
未経験者の方でも気負うことなく介護の仕事をはじめることができます。
また利用者さんの多くは、通院ができるほどの体力をお持ちの方です。
急に病状が悪化したらどうしようという心配もありません。
仮にそのような場面に直面しても病院内や病院に向かう途中のことなので、すぐ病院の指示を仰ぐことができます。
高度な介護知識や技術がなくても十分に仕事ができます。
通院介助は、車いすでの移動が多いことが特徴です。
段差や坂道、エレベーターの乗り降りでは、操作にいくつか気をつけるべき点があります。
車いすの操作に自信がなくても、勤務先で事前に教えてくれますし、コツがつかめればすぐ上手に操作することができます。
通院介助の仕事内容
では通院介助の仕事とはどういったことをするのでしょうか。
具体的な仕事の流れを見ていきましょう。
①通院の準備
まず利用者さんのお宅を訪問し、通院の準備をします。
利用者さんの身体の状態やご家庭の要望によって準備の内容は違います。
持ち物のチェック程度ですぐ出発できる場合もあれば、朝の起床からはじまり、トイレ、朝食、着替えと朝のルーティーンを介助する場合もあります。
②病院までの移動
車いすの方は多くの場合、介護タクシーを利用します。
車いすを使わない方は、タクシーや電車、バスなどを乗り継いで病院に向かいます。
電車の乗り換え方法や駅のエレベーターやトイレの場所などを事前に確認しておくと安心です。
③受診受付と診察待ち時間
病院に着いたら、受付を済ませ、診察まで一緒に待ち時間を過ごします。
待ち時間の過ごし方は利用者さんの意向に合わせます。
お話し好きな方には、話し相手になってコミュニケーションを深めましょう。
静かに過ごしたいという方には利用者さんが疲れないよう見守る程度にします。
検査やトイレの際は介助を行います。
介助は病院スタッフが行う場合もあります。
④診察時間
一緒に診察室に入って先生の説明をよく聞き、メモします。
次の診察日も忘れず確認します。
利用者さんによっては診察室の中に入らないでほしいという方もいらっしゃいます。
事前にご家族とよく確認しておきましょう。
⑤会計
診察が終わったら会計です。
お金のことなので、利用者さんができるところは利用者さんにお願いします。
利用者さんができないところは一緒にお金の確認をしながら行います。
⑥薬の受け取り
薬局で処方薬を受け取ります。
医師の説明通りの処方であるか、服用する数や種類、いつ服用するのかなどを確認します。
⑦帰宅の移動
薬を受け取ったら帰宅します。
利用者さんが「買い物がしたい」など寄り道を希望されることがありますが、寄り道についても事前に行ってよいかを取り決めをしておく必要があります。
なぜならその時間も料金が発生しているからです。
⑧帰宅後の仕事
帰宅したら、着替えやトイレの介助を行います。
利用者さんによっては家事のお手伝いをすることも。
最後に報告書を書き、ご家族やヘルパーさんあてにメモを残します。
医師からの説明や薬の服用に関すること、次回の診察日などを記載します。
通院介助の仕事に向いている人
ではどういった人が通院介助の仕事には向いているのでしょうか。
通院介助はおおまかな仕事内容は同じですが、細かい部分では利用者さんに合せて対応を変える必要があります。
利用者さんの性格や身体の状態、家族のご意向によって、自宅での介助内容や病院の待ち時間、診察時の対応も変わります。
また通院介助は外出が伴う仕事なので、想定外のことに直面することもあります。
天候が悪くなったり、電車が止まったりなど、屋内の仕事であれば発生しない状況にも対応しなくてなりません。
「こうあるべき」という強い思い込みがある人は向いていないかもしれません。
また人と関わることが好きで誰かの役に立ちたいと思っている人は、通院介助の仕事に向いています。
利用者さんのご家族の中には、自分が病院に付き添えないことに後ろめたい気持ちを持っている方もいます。
人から感謝されると仕事にやりがいも感じられます。
逆に「時給がいいから」という理由だけで仕事に就くと、利用者さんに寄り添った仕事ができず、やりがいも感じられません。
利用者さんやご家族にとってもストレスになります。
通院介助はやりがいがある仕事
介護士の資格をお持ちの方は「人の役に立ちたい」「困っている人を助けたい」このような思いを強く抱いているのではないでしょうか。
せっかく資格を持っているのに、さまざまな事情で介護の仕事ができないのはもったいないことです。
通院介助の仕事は、一人の利用者さんのためだけにサービスを提供します。
慌ただしい環境が苦手な人にもおすすめです。
利用者さんにとって、通院は気が重いものです。
検査で痛い思いをしたり、治療が思うようにいかず、気分が落ち込むこともあります。
利用者さんの気持ちを想像しながら、家族のような気持ちで接することが大切です。
通院介助は、やりがいのあるおすすめのお仕事です。