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【乳がん】がん化学療法(抗がん剤治療)の基本
乳がんのがん化学療法(抗がん剤治療)は、大きく3つの考え方に分類することができます。
術前化学療法(NAC)
まずは術前化学療法です。
術前化学療法は一般的にNACと呼ばれています。
手術に関連する化学療法(周術期化学療法)の本来の目的は『再発を防止し予後を改善する』ことにあります。
NACにはそれ以外に、『腫瘍を縮小して乳房温存率を向上する』ことや、『化学療法の有効性を判断する』という目的があります。
術後化学療法
術後化学療法の目的は再発の防止です。
基本的に手術の後の患者さんには『目に見えるがん』はありません。(手術で取り除いているはずです)
しかし、『目に見えないがん細胞』が全身に散らばっている可能性があります。
そのような目に見えないがん細胞を消滅させるために術後補助化学療法を行います。
進行・再発乳がんの化学療法
進行乳がんや、再発乳がんに行われる化学療法の目的は『延命』です。
重要なことは、QOLを向上(維持)しながら延命をするということです。
強力な化学療法を積極的に行うことによって、QOLが著しく低下してしまっては本末転倒です。
強度を上手く調節しながら化学療法を行うことが大切です。
【ホルトバギーのアルゴリズム】進行乳がんに対する化学療法
画像引用≫Treatment of Breast Cancer
転移再発の進行乳がんに対する治療方法は、ホルトバギーのアルゴリズムに従って行われます。
ホルモン受容体(ERまたはPgR)陽性
ホルモン受容体陽性の乳がんの場合は内分泌療法が考慮されます。
閉経前乳がんと閉経後乳がんでアプローチは異なります。
HER2陽性
HER2過剰発現が確認された場合、抗HER2療法が行われます。
代表的なレジメンを以下に示します。
- トラスツズマブ(ハーセプチン)8→6mg/kg
- ペルツズマブ(パージェタ)840→420mg/body
- ドセタキセル(タキソテール)75mg/m2
- day1に投与
- 21日サイクル
- ハーセプチンとパージェタは初回のみ用量が異なる
トリプルネガティブ乳がん
ホルモンおよびHER2が陰性の乳がんをトリプルネガティブと呼びます。
トリプルネガティブ乳がんでは、殺細胞性抗がん剤による化学療法が行われます。
- CMF:CPA+MTX+5FU
- AC:ADM+CPA
- TC:CTX+CPA
- FEC100:5FU+EPI+CPA
- WeeklyPTX:PTX
- など
乳がんの化学療法の目的を理解しよう!
周術期化学療法(術前・術後)は再発抑制が目的
転移再発乳がんは延命・QOL改善が目的
参考書籍:がん必須ポイント
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