ケアマネージャーと介護士は、どちらも高齢者や障害者の生活を支える重要な職業です。
しかし、仕事内容や収入に違いがあります。どんな違いがあり、どんな人が向いているのでしょうか。
この記事では、ケアマネージャーと介護士の違いやそれぞれに向いている人の特徴を紹介し、自分に合った職業を見つけるためのヒントをお伝えします。
ケアマネージャーと介護士の共通点
ケアマネージャーと介護士の共通点は、働く業界や対象者です。
ケアマネージャーと介護士は、どちらも介護業界で働く職種であり、社会的に重要な役割を担っています。
対象者は、介護が必要な利用者さんです。
利用者さんの自立を支援し、生活の質を向上させることがおもな役割です。
また、コミュニケーション能力や協調性が必要なことも共通点です。
介護業界では各関連機関や各職種とのチームケアが求められます。
それぞれの役割を効果的に果たし、より良いサービスを提供するためには情報共有が必要です。
利用者さんやご家族とコミュニケーションを取りながら、利用者さんの尊厳や自立を尊重した対応を心がけます。
ケアマネージャーと介護士の違い
ケアマネージャーと介護士は、どちらも介護業界で働く職種です。
しかし、資格や仕事内容、収入などに違いがあります。
それぞれ詳しくみていきましょう。
資格
ケアマネージャーは資格が必要ですが、介護士は資格なしでも働けます。
ケアマネージャーとして働くにはケアマネージャー(介護支援専門員)の資格が必要です。
ケアマネージャー試験を受験するには、介護福祉士や看護師などの国家資格に基づく実務経験が5年以上必要です。
実務経験を積み、介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修を修了すると、ケアマネージャーの資格を取得できます。
介護士は特別な資格は必要なく、無資格でも働けます。
しかし、介護士としてより仕事の幅を広げるため、また転職のためにも、資格を取得することは重要です。
介護職員初任者研修・実務者研修や介護福祉士などの資格を取得することで、スキルアップやキャリアアップができます。
仕事内容
ケアマネージャーと介護士はどちらも介護に従事する仕事ですが、具体的な仕事内容に違いがあります。
ケアマネージャーは、利用者さんが自立した生活を送るために必要なサービスや支援を計画・調整・管理する専門職です。
利用者さんやご家族のニーズや希望を把握し、介護保険制度や福祉制度などの知識を活かして、最適なケアプランを作成します。
また、利用者さんやご家族とサービス提供者との間の連絡や調整も行います。
利用者さんの状況に応じて、定期的にケアプランの見直しや評価も行い、利用者さんの生活をマネジメントするのが仕事です。
一方介護士は、直接介護をすることで利用者さんの生活を支える職業です。
利用者さんが日常生活を送るために必要な身体的・精神的な介助や支援をします。
具体的な仕事内容は、食事や入浴、排泄、着替えなどの介助や、リハビリテーションやレクリエーションなどの機能訓練や活動支援です。
また、利用者さんの健康状態や心理状態の観察や記録も行います。
介護士は、ケアマネージャーが作成したケアプランに基づいた介護を提供します。
収入
ケアマネージャーと介護士は収入に差があります。
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、それぞれの平均月収はケアマネージャー約35万円、介護士約32万円です。
ケアマネージャーは介護士よりも約3万円高い月収を得ています。
ケアマネージャーがおすすめな人の特徴
介護士よりもケアマネージャーがおすすめな人の特徴を紹介します。
収入を上げたい人
より専門性の高い仕事であるケアマネージャーは、介護士よりも高い収入が得られます。
それぞれの平均月収はケアマネージャー約35万円、介護士約32万円です。
年収に換算すると、単純計算でケアマネージャー約420万円、介護士約384万円になります。
差額は月収ではケアマネージャーの方が約3万円高いです。
年収の差額は約36万円であり、1ヶ月分の収入以上に相当します。
専門知識や実務経験を活かしたい人
ケアマネージャーは介護支援専門員の資格をもっています。
介護支援専門員の資格は、国家資格である介護福祉士や看護師などで5年以上の実務経験を積み、試験に合格し、実務研修を修了することで取得できます。
ケアマネージャーは、これまで培ってきた専門知識や実務経験を活かして、より専門的で責任のある役割を担いたい人におすすめの仕事です。
キャリアアップしたい人
ケアマネージャーは介護士よりもキャリアアップの幅が広いです。
ケアマネージャーは、介護施設や居宅介護支援事業所などで管理職やリーダーとして活躍することができます。
また、独立して開業することも可能です。
キャリアアップし、さらに上のポストを狙いたい人におすすめです。
介護士がおすすめな人の特徴
ケアマネージャーよりも介護士がおすすめな人の特徴を紹介します。
国家資格をもっていない・実務経験の浅い人
ケアマネージャーは資格を取得する必要があり、他の国家資格や実務経験が必要です。
国家資格をもっていない人や国家資格をもっていても実務経験が5年未満の人はケアマネージャーにはなれません。
介護士は資格がなくても働けるため、資格がない人や実務経験の浅い人でも働けます。
介護士として働きながら資格を取得し、ケアマネージャーを目指すのも良いでしょう。
利用者さんをより身近に支えたい人
介護士はケアマネージャーよりも利用者さんとの関わりが深いです。
介護士の仕事は、利用者さんの身体的・精神的な状態を観察し、日常生活の支援やレクリエーションなどを行うことです。
利用者さんと一緒に過ごす時間が長く、信頼関係を築きやすいです。
一方ケアマネージャーは、介護士に比べて利用者さんと直接接する時間は少なく、管理的な立場になります。
モニタリングなどの必要時に利用者さんと接する以外は事務作業や連絡調整をしています。
利用者さんをより身近に支えたい人は介護士がおすすめです。
介護士がケアマネージャーになる方法
介護士がケアマネージャーの資格を取得するには「初任者研修→実務者研修→介護福祉士→ケアマネージャー」のルートがおすすめです。
まずは「ケアマネージャー(介護支援専門員)試験」の受験要件を満たす必要があります。
受験資格は、国家資格での実務経験が5年以上あることです。
既に介護士として働いているのであれば「介護福祉士」を取得して実務経験を積むのがおすすめです。
介護福祉士になるには「介護現場での3年以上の実務経験」と「介護福祉士実務者研修」の修了が必要です。
介護福祉士は、介護現場で唯一の国家資格であり、他の資格よりも難易度が高く設定されています。
基礎的な知識・技術を身につけるために、まずは「初任者研修」を修了し、働いて実務経験を積みながら介護福祉士国家試験の受験資格のための「実務者研修」を修了しましょう。
介護福祉士として5年以上の実務経験を積んだら「介護支援専門員実務研修受講試験」の合格を目指しましょう。
毎年10月頃に実施される試験で、介護支援分野と保健医療福祉サービス分野からの出題で、計60問のマークシート形式です。
各分野で70%以上の正答率を獲得する必要があります。
試験合格後は「介護支援専門員実務研修」を受講します。
内容は、講義形式・演習形式の87時間の研修と居宅介護支援事業所での3日程度の実習です。
実務研修では、ケアプランの作成や要介護認定の知識などを学びます。
研修を終えたら3ヶ月以内に介護支援専門員名簿に登録の手続きを行い、介護支援専門員証の交付を受けます。介護支援専門員証の発行まで1ヶ月ほどかかりますが、交付日(実務研修修了日)からケアマネジャーとして従事できます。
ケアマネージャーと介護士の違いを知って自分に合う職種を選ぼう
今回は、ケアマネージャーと介護士の違いやそれぞれに向いている人の特徴を紹介しました。
ケアマネージャーと介護士は互いに連携し、どちらも利用者さんの生活の質を向上させるために介護現場で活躍します。
仕事内容や収入の違いを知って、自分に合った職種を選びましょう。