こんにちはHitouchの「T」です。
@hitouch_life
医薬品の流れをご存知ですか?
薬剤師の中にも、医薬品流通には詳しくないという人も多いはずです。
しかし、いずれ管理薬剤師や薬局長という立場になるのであれば、医薬品流通の知識は避けて通れません。
医薬品流通の仕組みを知って、現代のトレンドを想像することで、薬剤師としての仕事のあり方が見えてきます。
医薬品流通の実態と現状についてまとめていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
*)本記事は姉妹サイト(HitouchLIFE)の記事を一部改変したものです
Contents
医薬品の流通とは?
*)大手調剤薬局3社の株価チャート
タミフルは中外製薬の製品です。
だからといって、タミフルを中外製薬から直接買うわけではありませんよね。
タミフルは病院(調剤薬局)でもらうはずです。
*)実際にはお金を払って買っています
では病院はどこからタミフルを買うのでしょう?
病院は医薬品卸(ディーラー)からタミフルを買います。
実は、病院も中外製薬から直接タミフルを買っているわけではありません。
医薬品卸が中外製薬からタミフルを仕入れています。
つまり・・・
製薬メーカー
↓
医薬品卸
↓
病院
↓
患者
という流れで、薬は患者へと届けられるのです。
薬価って何の値段??
医薬品の値段の事を薬価といいます。
薬価は国が決めています。
これは誰でも知っていることです。
では・・・
この薬価とは、誰から誰に薬が販売された時の価格でしょう??
これは意外と知らない人が多いよ!
薬価とは、患者が薬をもらう時の、薬の価格です。
薬価は国が決めていますので、日本全国どこの薬局で薬を貰おうが、どこの病院に受診しようが、タミフルは1カプセル272円(2019年1月現在)です。
*)受診料等は医療施設によって違います
ではでは・・・
病院が医薬品卸に支払うお金はいくらでしょう??
病院がタミフルを買う時も、1カプセル272円なのでしょうか??
・・・
・・・
違うんですよ!!
医薬品卸から病院に販売される時の価格を、業界用語で納入価と言います。
ではではでは・・・
納入価っていくらでしょう??
ここが今回のお話のポイントだよ!
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薬価差益って何?
病院(調剤薬局)が薬品を仕入れる時の価格を納入価といいます。
通常この納入価は、薬価から数%値引きされています。
例えば・・・
タミフルの薬価が1カプセル272円です。
仮に、納入価が10%引き(薬価から10%引き)だとしましょう。
すると病院は、タミフル1カプセルを244.8円で購入できることになります。
ここで、薬価と納入価の差額が発生します。
この差額が薬価差益です。
つまり、病院は、医薬品卸からタミフルを買って、患者にタミフルを渡せば、27.2円儲かるということになります。
ここで思い出してください。
薬価は国が定めています。
ということは・・・病院としては、薬の売値が決まっているわけです。
医療機関が少しでも薬価差益を取得するには、購入価格(納入価)を安くしなければいけません。
だんだん胡散臭くなってきたよね・・・
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医療サービスに最も重要なものは倫理です!!
医療サービスを提供する上で、医療従事者が最も大切にするべきことは倫理観です。
日本にある“ほとんど”の医療機関が、倫理観を最も崇高なものとして位置づけているという大前提を忘れずに、この先を読み進めて下さい。
納入価は交渉で決まる!?
納入価は、医療機関と医薬品卸との間で決まる価格です。
医療機関としては少しでも安く買いたい
ディーラーとしては少しでも高く売りたい
こう思うのが自然です。
価格交渉になるのは自然の流れです。
価格交渉の際に医療機関の使う手法が、数量値引きです。
数量値引き:Quantity Discount
購入数が多くなるほど値引きする、という手法が数量値引きです。
2つ買ったら2つ目半額!
5万以上のお買い物で20%割引!
これだけ多く買ったんだから安くしてくれよぉ!!
医薬品でも数量値引きが行われています。
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数量値引きを実現するためには??
医療機関が少しでも儲けるためには、医薬品を安く買って薬価差益を手に入れる事が重要になります。
なぜなら、薬の売値は国に固定されている(薬価は決まっている)から。
少しでも安く買うために、理想的な数量値引きを実現するためにはどうしたらいいと思いますか?
使う薬を決める?
同じような薬効の薬というのはたくさんあります。
アムロジンとノルバスクとアムロジピンと・・・
医師によってお気に入りのカルシウム拮抗剤が違う、というのはよくある話です。
更にこれを患者ごとに使い分けていては・・・?
1剤あたりの処方数(薬を使う数)が減ってしまいますよね。
ところが・・・
内科の医師も、外科の医師も、全ての患者にノルバスクを使えば、ノルバスクの使用数は必然的に多くなります。
すると・・・?
数量値引きが発動して、ノルバスクを安く買うことできます。
つまり、医療機関としては、できるだけ薬の品目数を絞って、大量に購入するのが合理的であるといえます。
倫理観はどこへ!?
薬の選択肢が狭まってしまえば、患者ごとに薬を使い分けることが難しくなります。
もちろん、1つの医療機関に、全ての血圧の薬が必要なわけではありません。
しかし、医療機関が医薬品流通を利用して利益を出そうとすると、ある程度は処方を集中させる必要があります。
こうなると、どうしても倫理との矛盾が生じます。
・・・
現代は、医薬品の流通(薬価差益)で儲ける時代ではないのかもしれません。
医薬品の流通だけで医療機関が儲かる時代というのは、確かに存在しました。
しかしそれはもう過去のことです。
いまだに薬価差益で潤う医療機関もあるようですが、いずれそれは淘汰されるでしょう。
医薬品の流通から切り離されてこそ、医療は医療として機能するのだと思います。
EBMという考え方があります。
科学的根拠に則った医療を行うという考え方です。
現代の医療はEBMで行われています。
現場の医療スタッフは、EBMを創り、遵守し、それで命を救います。
その影に・・・流通の闇があろうとも・・・
しかし、そこに医療機関を存続させ、地域医療を守り続けるためにも、医療機関が利益を追求することもまた、重要なことです。
・・・
医療機関の利益は、EBMによってもたらされるべきだと・・・
僕は思います・・・
・・・知らんけど。
Sincerely,
Hitouch『T』
第2話に続く→→
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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
医療・投資・自己啓発系のライティングを得意とする医療ライター
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