介護職

ケアマネの医薬品管理における役割は?医薬品管理の方法や連携する職種についても解説

在宅介護において、医薬品管理は重要な課題です。

医薬品管理とは、利用者さんが必要な薬を正しく安全に服用できるようにすることです。

医薬品管理が不十分だと、副作用や薬の効果が低下したり、薬の飲み忘れや重複服用などのトラブルが起こりやすくなります。

また、医療費の無駄遣いにもつながります。

では、ケアマネは医薬品管理にどのように関わることができるのでしょうか。

本記事では、ケアマネの医薬品管理における役割と、医薬品管理の方法や連携する職種について解説します。

医薬品管理はなぜ必要?

慢性疾患や多様な症状を抱えている利用者さんは、多くの薬を服用することが多いです。

しかし、高齢になると、認知機能の低下や視力の衰えなどにより、自分で正しく薬を管理することが困難になる場合があります。

また、体質や体調の変化により、薬の効き方や副作用が変わる恐れもあります。

在宅介護においては、医薬品管理を適切に行うことが必要です。

医薬品管理を行うと得られるメリットは以下のとおりです。

  • 薬の効果を最大限に発揮させることができる
  • 副作用やアレルギーなどのリスクを低減することができる
  • 薬の飲み忘れや重複服用などのトラブルを防ぐことができる
  • 薬の使用期限や在庫量を把握することができる
  • 薬の処方内容や変更履歴を記録することができる
  • 医療費の節約に貢献することができる

ケアマネは医薬品管理ができる?

ケアマネは、介護保険法に基づいて介護サービス計画(ケアプラン)を作成し、利用者さんの介護サービスを調整する専門職です。

ケアマネは、利用者さんのニーズや希望に応じて最適な介護サービスを提供するために、さまざまな職種と連携します。

しかし、ケアマネは医療従事者ではありません。

したがって、ケアマネは直接的に医薬品管理を行うことはできません。

ケアマネは医師や薬剤師などの医療従事者に医薬品管理を依頼できますが、自分で薬を処方したり、服用方法を指示したりすることはできません。

ケアマネの医薬品管理における役割

ケアマネは直接的に医薬品管理を行うことができないことがわかりました。

では、ケアマネは医薬品管理にどのように関わることができるのでしょうか。

ケアマネの医薬品管理における役割は、主に以下の2つです。

医薬品管理のマネジメント

ケアマネは、利用者さんの医薬品管理を円滑に行うために、以下のようなマネジメントを行います。

担当する職種

ケアマネは、利用者さんの医薬品管理に関わる職種を把握し、連絡先や役割分担を明確にします。

例えば、医師や薬剤師は薬の処方や指導を行い、訪問看護師や訪問介護員は服薬状況の確認や記録を行います。

タイミング

ケアマネは、利用者さんの医薬品管理に関するタイミングを調整します。

例えば、薬の処方や変更があった場合は、速やかに関係者に連絡し、服薬方法や注意点を確認します。

医薬品管理が必要になったら、訪問看護師やデイサービスのスタッフに依頼をかけ、ケアプランを組みます。

また、定期的に服薬状況や効果・副作用などを確認し、必要ならば医師や薬剤師に相談します。

方法

ケアマネは、利用者さんの医薬品管理に関する方法の決定にも関わります。

例えば、どのような形式で服薬記録を作成するか、どのような方法で服薬状況を報告するかなどです。

また、利用者さんが自分で医薬品管理ができる場合は、管理方法やサポート体制を決めます。

利用者さんの状態観察

ケアマネは、服薬前後の利用者さんの状態観察を行います。

利用者さんの体調や気分などの変化を観察し、薬の効果や副作用と関係があるかどうかを判断します。

例えば、眠気やめまいなどが起こった場合は、薬の影響なのか他の原因なのかを考えます。

また、服薬拒否があった場合には薬の必要性を理解しているか、飲みたくない理由があるかなどを確認します。

定期的に利用者さんの生活環境や生活リズムを確認するのも重要です。

例えば、利用者さんが一人暮らしで食事時間が不規則だったり、家族や友人と連絡が取れなかったりする場合は、服薬忘れや飲み間違いが起こりやすくなります。

医薬品管理は誰がする?

医薬品管理をするのは、利用者さん本人や家族だけではありません。

利用者さん本人や家族だけでは管理が難しい場合には、専門職の手を借りましょう。

医薬品管理に関わる専門職は以下の通りです。

訪問薬剤指導

訪問薬剤指導とは、薬剤師が在宅で服用している薬について指導するサービスです。

訪問薬剤指導では、以下のようなことを行います。

  • 薬の種類や効果、服用方法、注意点などを説明する
  • 薬の飲み合わせや副作用についてチェックする
  • 薬の保管状況や残量を確認する
  • 薬の一包化や服薬カレンダーなどを提供する
  • 医師や看護師と連携して薬の変更や減量などを提案する

訪問薬剤指導は、薬の専門家です。

知識が豊富でより専門的に指導してくれるため、安心して医薬品管理を任せられるでしょう。

訪問看護師

訪問看護師とは、看護師が在宅で医療的なケアを提供するサービスです。

訪問看護師では、以下のようなことを行います。

  • 注射や点滴などの処置を行う
  • 血圧や血糖値などの測定を行う
  • 傷口やストーマなどの管理を行う
  • 症状や体調の変化に対応する
  • 薬の服用状況や効果を観察する

訪問看護師は、薬の他に病気のケアも行ってくれます。

利用者さんが在宅で医療的なケアを受けられるようにするために有効です。

デイサービスの職員

デイサービスとは、利用者さんが日中に通って様々な活動やリハビリテーションを行うサービスです。

デイサービスの職員は、以下のようなことを行います。

  • 食事や入浴などの介護を行う
  • 運動やレクリエーションなどのプログラムを提供する
  • 薬の持参や服用の確認を行う
  • 薬の効果や副作用について注意する
  • ケアマネや医師などと情報を共有する

デイサービスでは、利用者さんの服薬前後の状態変化を確認してもらえます。

医薬品管理は、看護師が在籍していれば服薬介助まで可能です。

しかし、介護職員やリハビリスタッフは服薬の確認までしか行えないので注意が必要です。

医薬品管理を自立するための援助方法

専門職に依頼する他にも医薬品管理を援助する方法があります。

利用者さんが自立して管理できるようになるための援助方法としては、以下のようなものがあります。

薬を一包化する

薬の一包化とは、一回分の薬を一つの袋に入れて分けることです。

薬を一包化することで、薬の種類や量を間違えるリスクが減ったり、デイサービスなど外出時の持ち運びが便利になります。

一包化するには、主治医と薬局に依頼しましょう。

薬局に依頼するときには、薬の袋に名前や日付を印字してもらうと、他人の薬との混同や飲み忘れを防げるので、さらに効果的です。

服薬カレンダーを使う

服薬カレンダーとは、曜日や朝・昼などの服薬のタイミングに分けて薬を収納できる袋が付いたカレンダーです。

服薬カレンダーを使うことで、薬の服用状況が一目でわかるようになり、薬の服用漏れや重複を防げます。

家族やケアマネも薬の服用状況を確認しやすくなるので、どれだけ管理できているかのフィードバックがしやすくなります。

服薬カレンダーを使う場合には、薬をセットする時に間違えないように注意しましょう。

まだ管理が不十分な段階では、利用者さんと一緒に薬をセットすることを訪問看護師などに援助してもらうと良いでしょう。

服薬ボックスを使う

服薬ボックスとは、薬を入れる箱です。
服薬ボックスには、曜日や時間帯ごとに区切られた仕切りがあります。

服薬ボックスも服薬カレンダーと同じように、薬の服用状況や服用漏れがないかが一目でわかるようになっています。

注意点は、服薬カレンダーとは異なり、朝・昼・夕など時間帯だけで区切られたボックスなど大まかな区切り方になっている場合が多いことです。

つまり、日付などは利用者さん自身が確認する必要があるということです。

服薬ボックスを使う利用者さんは、服薬カレンダーを使うよりも自立度が高い利用者さんになります。

ケアマネは医薬品管理のマネジメントも必要

ケアマネは医薬品管理を直接行うことはできませんが、マネジメントという重要な役割を担っています。

利用者さんの医薬品管理をする際には、他職種連携や援助方法の選定が必要です。

利用者さんの健康と安全を守るためにも、医薬品管理に関する知識を身につけ、適切なマネジメントをしていきましょう。

ABOUT ME
瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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