医薬品解説

調剤薬局で混注できる注射薬一覧|在宅医療の輸液を保険薬局で支給するには?

こんにちはHitouchの「T」です。
@hitouch_life

 

読者様からご質問をちょうだいしました。

 

介護施設スタッフさん

調剤薬局さんに注射薬を調剤してもらうことは可能なんでしょうか?

作ってもらえると非常に助かるのですが…

 

はいたっち

ご質問ありがとうございます!

結論を言うと可能です。

高カロリー輸液や抗がん剤の混注でさえ可能です。

しかし、そのためには技術のあるスタッフ(経験のある薬剤師)が必要ですし、無菌調製を行うための設備が必要です。

これらのインフラ整備が難しく、多くの調剤薬局では混注ができないというのが現状です。

経済的なことを度外視すればどこの薬局でも可能ですが、そんなボランティア精神だけではやっていけないというのが本音でしょう。

ご利用されている調剤薬局さんに相談してみると良いかと思います。

 

参考資料:薬局における無菌製剤(注射剤)の調製について(日本薬剤師会)

2019年6月現在の情報です

 

いつまで薬局薬剤師で疲弊してるの?

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はいたっち

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順番に回答させていただきます。

 

保険薬局(調剤薬局)で支給可能な注射剤とは?

 

保険薬局で注射薬を調剤することは可能です。

まずは保険薬局で支給可能な注射薬を確認します。

調剤料(注射薬)

1回の処方箋受付において、注射薬を調剤した場合は、調剤数にかかわらず、26点を算定する。

なお、保険薬局で支給できる注射薬は厚生労働大臣が定めた次の薬剤に限られます。

  • インスリン製剤
  • ヒト成長ホルモン剤
  • 遺伝子組み換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤
  • 遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤
  • 乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤
  • 乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤
  • 遺伝子組み換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤
  • 乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤
  • 活性化プロトロンビン複合体
  • 乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体
  • 自己連続携行式腹膜灌流用灌流液
  • 在宅中心静脈栄養法用輸液
  • 性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤
  • 性腺刺激ホルモン製剤
  • ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体
  • ソマトスタチンアナログ
  • 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤
  • インターフェロンアルファ製剤
  • インターフェロンベータ製剤
  • ブプレノルフィン製剤
  • 抗悪性腫瘍剤
  • グルカゴン製剤
  • グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト
  • ヒトソマトメジンC製剤
  • 人工腎臓用透析液
  • 血液凝固阻止剤
  • 生理食塩水
  • プロスタグランジンI2製剤
  • モルヒネ塩酸塩製剤
  • エタネルセプト製剤
  • 注射用水
  • ペグビソマント製剤
  • スマトリプタン製剤
  • フェンタニルクエン酸塩製剤
  • 複方オキシコドン製剤
  • オキシコドン塩酸塩製剤
  • ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム製剤
  • デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム製剤
  • デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム製剤
  • プロトンポンプ阻害剤
  • H2遮断剤
  • カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム製剤
  • トラネキサム酸製剤
  • フルルビプロフェンアキセチル製剤
  • メトクロプラミド製剤
  • プロクロルペラジン製剤
  • ブチルスコポラミン臭化物製剤
  • グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸塩配合剤
  • アダリムマブ製剤
  • エリスロポエチン
  • ダルベポエチン
  • テリパラチド製剤
  • アドレナリン製剤
  • ヘパリンカルシウム製剤
  • アポモルヒネ塩酸塩製剤及びセルトリズマブペゴル製剤
  • トシリズマブ製剤
  • メトレレプチン製剤
  • アバタセプト製剤
  • pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)製剤、電解質製剤及び注射用抗菌薬
  • エダラボン製剤
  • アスホターゼアルファ製剤
  • グラチラマー酢酸塩製剤
  • 脂肪乳剤
  • セクキヌマブ製剤
  • エボロクマブ製剤
  • ブロダルマブ製剤
  • アリロクマブ製剤
  • ベリムマブ製剤
  • イキセキズマブ製剤
  • ゴリムマブ製剤
  • 電解質製剤
  • 注射用抗菌薬

注) 「電解質製剤」とは、経口摂取不能又は不十分な場合の水分・電解 質の補給・維持を目的とした注射薬(高カロリー輸液を除く)をいい、電解質製剤以外に電解質補正製剤 ( 電解質製剤に添加して投与する注射薬に限る )、ビタミン剤、高カロリー輸液用微量元素製剤及び血液凝固阻止剤を投与することができる。

注) 「注射用抗菌薬」とは、病原体に殺菌的又は静菌的に作用する注射 薬をいう。

 

平成26年度の診療報酬改定から電解質製剤と注射用抗菌薬が追加になりました。

これにより調剤薬局で混注できる注射薬が一気に拡大しましたが、まだまだ『これはいい』『これはだめ』という線引が曖昧で、よくわからないからやめておこうというのが本音だと思います。

ビタミン剤というのも、なにがビタミン剤なのかというのがはっきりしていません。

注射薬も内服薬も同じくらい危険なんだから、はっきりすればいいのに、と個人的には思いますが…なんだかいろいろあるみたいですね。

無菌製剤処理加算とは?

注射薬について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、2以上の注射薬を無菌的に混合して(麻薬の場合は希釈を含む)、中心静脈栄養法用輸液抗悪性腫瘍剤又は麻薬を製剤した場合に算定し、中心静脈栄養法用輸液又は抗悪性腫瘍剤を1日分製剤する毎にそれぞれ65点75点又は65点(6歳未満の乳幼児の場合においては、1日分製剤する毎にそれぞれ130点、140点又は130点)を加算する。

「無菌製剤処理」とは、無菌室・クリーンベンチ・安全キャビネット等の無菌環境の中で、無菌化した器具を使用し、無菌的な製剤を行うことをいう。

日科ミクロン

無菌製剤処理加算という加算を算定するためには、中心静脈栄養療法用輸液(CVルートから投与する高カロリー輸液)や、抗がん剤を混注することが必須となります。

麻薬をインフューザーポンプに混注することも可能ですが、麻薬の施用届けや破棄届などの手間を考えると、全然割に合わないというのが正直なところだと思います。

無菌製剤処理加算を算定するための施設基準

(平成26年3月5日 保医発0305第3号 別添1)

1 保険薬局の無菌製剤処理加算に関する施設基準

(1) 2名以上の保険薬剤師(常勤の保険薬剤師は1名以上)がいること。

(2) 無菌製剤処理を行うための無菌室、クリーンベンチ又は安全キャビネットを備えていること。

ただし、薬事法施行規則(昭和36年2月1日厚生省令第1号)第15条の9第1項のただし書の規定に基づき無菌調剤室(薬局に設置された高度な無菌製剤処理製剤処理を行うことができる作業室をいう。以下同じ。)を共同利用する場合は、この限りでない。

施設基準としては、2名以上の薬剤師と、クリーンベンチまたは安全キャビネットです。

クリーンベンチや安全キャビネットは共同利用可能という文言も記載されていますので、グループ薬局や、地域の薬剤師に相談してみると良いかもしれません。

クリーンベンチと安全キャビネットについて

クリーンベンチと安全キャビネットでは目的が違います。

クリーンベンチは、細菌汚染されないよう無菌的に輸液を混注するのが目的ですが、安全キャビネットは、細胞毒性のある薬剤(抗がん剤など)から調剤者を守ることが目的です。

 

安価なクリーンベンチだけを設置して、その中で抗がん剤を混注すれば、抗がん剤を無菌的に調整することができますが、調剤者が抗がん剤に暴露するのは間違いありません。

一方で、安全キャビネットでは、抗がん剤も高カロリー輸液も安全に混注することは可能です。

 

しかし!!!!

抗がん剤を混注した場所で高カロリー輸液を混注すれば、その高カロリー輸液にはベッタリと抗がん剤が付着するということになります。

 

このように、混注する薬剤によって必要な設備が異なるということは知っておく必要があります。

クリーンベンチさえあれば高カロリー輸液も抗がん剤も調剤できるわけではありませんし、逆もしかりです。

【さいごに】病院の余った設備をシェアできないのか?

ここからは持論になりますので、不必要な方は読み飛ばして下さい。

 

全国には沢山の病院があります。

病院には沢山のクリーンベンチや安全キャビネットが『余っています』。

朝の8時から夕方17時まで、クリーンベンチと安全キャビネットがフル稼働しているという病院は聞いたことがありません。

どこの病院もシフト制を採用しており、『何時から何時まで何人で混注』みたいなことをやっているはずです。

ということは…『余っているはず』です。

これを近隣の保険薬局とシェアすることができれば、保険薬局は保険点数を算定できますし、病院側は賃料を手に入れることができます。(法的に可能なのかどうかは知りません)

在宅で待つ患者さんにとっては、より良い環境で調剤された医薬品を届けることが可能です。

まさにウィン・ウィンってやつです。

実際にこういうイノベーションを起こしている医療機関はあるのでしょうが、まだまだ全国的には普及していないように思います。

患者のため、地域のためと言いながら、定年間近の人たちが集まって、不毛な会議を繰り返すのではなく・・・患者のため、地域のために、あなたのその権力で、限られた医療資源が有効に利用されることを切に願います。

 

*)ちなみに僕は、聖人ぶっているだけでイノベーションを起こせないような保守的な経営者よりも、『自分が威張りたいから偉くなりたい』という素直な経営者のほうが好きですよ

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Sincerely,

Hitouch『T』

 

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【この記事の執筆者】

Hitouch「T」
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瀬古高行
医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。
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