サービス管理責任者の資格を検討されている方の中には「合格率ってどのくらい?」と考えることがあるのではないでしょうか。
結論からいうと、サービス管理責任者になるにあたって試験はなく、合格率はありません。
「試験がないならどうやってなるのか」と疑問を抱きますよね。
そこで今回は、サービス管理責任者になる方法を解説します。
サービス管理責任者に合格率はない!

上述した通り、サービス管理責任者に合格率はありません。
介護職の中で資格を持つ方は多くはなく、責任のある仕事内容から「試験がある」という誤解を持たれやすいですが、試験はありません。
定められた実務経験を満たし研修を受講すればサービス管理責任者になれます。
しかし、要件にある実務経験やOJTのハードルが高く、簡単に取れる資格ではありません。以下の項目で、資格を取るための実務経験を紹介します。
必須の実務経験

資格をとるには実務経験と各都道府県で実施される研修の受講が必要です。
実務経験を満たすには、以下4つのいずれかが必須です。
- 相談支援業務:5年以上
- 直接支援業務:8年以上
- 指定された資格を持つ人の直接支援業務:5年以上
- 指定された資格を持つ人の相談支援業務および直接支援業務:3年以上
1.相談支援業務:5年以上
相談支援業務とは、障がいのある方やその家族の相談に対応し、情報を提供したり福祉サービスの提案をしたりします。
資格の要件のひとつに、相談支援業務を5年以上経験することがあります。
厚生労働省では実務経験が5年以上と定められていますが、都道府県によっては5年以上、かつ、900日以上というところもあります。
お住まいの都道府県の要件を確認しましょう。
相談支援業務の実務経験を満たせる場所と業務内容は以下になります。
・医療機関の相談支援業務(以下1~4のいずれかに当てはまる人)
①社会福祉主事任用資格がある
②訪問介護員2級以上に相当する研修を修了
③国家資格等がある(※)
④施設等における相談支援業務、就労支援における相談支援業務、特別支援教育における進路相談・教育相談の業務に従事した期間が1年以上
・就労支援に関する相談支援業務
・特別支援教育における進路相談・教育相談の業務
・上記の業務に準ずると都道府県知事が認めた業務
2.直接支援業務:8年以上
直接支援業務とは介護を必要とする方の日常生活支援や、介護に関する指導をする業務をいい、実務経験は8年以上必要です。
直接支援業務の実務経験を満たせる場所と業務内容は以下の通りです。
・施設および医療機関などの介護業務
・障がい者雇用事業所の就業支援業務
・盲学校・聾(ろう)学校・養護学校の職業教育業務
・上記の業務に準ずると都道府県知事が認めた業務
3.指定された資格を持つ人の直接支援業務:5年以上
持つ資格によって、直接支援業務の実務経験が5年以上となります。
直接支援業務の実務経験が5年以上で満たせる資格は以下の通りです。
・社会福祉主事任用資格
・訪問介護員2級以上に相当する研修を修了
・児童指導員任用資格者
・保育士
4.指定された資格を持つ人の相談支援業務および直接支援業務:3年以上
相談支援業務と直接支援業務の経験が3年以上、かつ、国家資格の業務に従事していると、サービス責任者になるための実務経験が満たせます。
国家資格とは、上記の相談支援業務で記載してある国家資格と同様です。
研修とOJT

研修は各都道府県で実施されています。
まずは基礎研修を修了し、以下の段階をふむと資格を取ることができます。
- 基礎研修:26時間
- OJT:2年以上(実践研修を行うために必要な実務経験を2年積む)
- 実践研修:14.5時間
基礎研修:26時間
基礎研修は講義と演習があり、合計26時間で修了します。
OJT:2年以上(実践研修を行うために必要な実務経験を2年積む)
OJTとは「On the Job Training」の略称で、専門の教育者から指導を受けながら実務経験を積む方法です。
基礎研修を修了した後は、サービス管理責任者が配属されている事業所で経験を積みます。
場合によっては6ヶ月以上のOJTでもよい
令和5年2月、要件に当てはまる場合は「OJTは6ヶ月以上とする」と厚生労働省から発表がありました。
要件は、基礎研修受講開始時に実務経験を満たしており、障がい福祉サービスに係る個別支援計画の作成の業務に従事する場合です。
要件によって2年から6ヶ月のOJTで実践研修に進めるため、より短い期間でサービス責任者になれるようになりました。
実践研修:14.5時間
OJTで実務経験を積んだ後、実践研修を受講できます。
実践研修は講義と演習があり、合計時間は14.5時間です。
サービス責任者になるまでの道のりは長い

サービス管理責任者は実務経験に加えて、研修、OJTと道のりは長いです。
直接支援業務に8年以上従事し、OJTを2年以上した場合、合計10年以上もかかります。
道のりが長いことから、サービス管理責任者の資格を持つ人は多くはないです。
しかし、資格を持つ人が多くはないからこそ、貴重な資格であるといえます。
資格を取ることで、利用者さんに直接関わる介護業務だけでなく、利用者さんを取り巻く環境を考え適切なサービスを提供するマネジメント能力を身に付けることが可能です。
そして、介護職員の指導も行うため、頼れるリーダー的存在にもなれます。
職場では「長い道のりを経て資格を取った」という、あなたへの信頼も得られます。
また、新たな仕事にチャレンジすることで、やりがいや生きがいにも繋がるでしょう。
マネジメントやリーダーに興味がある人には、ぜひおすすめしたい資格です。
資格を取るときは最新の情報を忘れずチェック!

資格を取るときは最新の情報を忘れず確認しましょう。
なぜかというと、資格を取る要件がここ数年で大きく変わっているからです。
これまで実務経験の年数や研修の内容が変わってきました。
最近では、OJTの期間は要件によって、2年から6ヶ月となっています。
最新情報を受け取っていないと、資格を取るまでの道のりが遠まわりになるかもしれません。
最新情報を忘れず確認することで、より早く資格が取れるでしょう。
なお、最新情報は厚生労働省のホームページで確認できます。
正しい知識を身に付けてサービス責任者を目指そう

今回は、サービス管理責任者の資格を取る手順を紹介しました。
サービス管理責任者になるには試験がないため、合格率はありません。
実務経験と研修、OJTを経てなることができます。
しかし、取得までの期間がとても長く、簡単になることはできません。
だからこそ、貴重な存在であり、介護現場の頼もしい存在であるといえます。
マネジメントやリーダーに興味がある人は、ぜひ目指してみませんか?