このサイトでは実臨床で活用できる薬の知識をご紹介しています。
毎日6時に更新しています。
どの記事も2-3分で読めるものばかりです。
スキマ時間の学びにご活用ください。
Contents
Ⅳ期非小細胞肺がんの治療戦略とは?
Ⅳ期非小細胞肺がんの化学療法を行うためには、各種遺伝子検査をする必要があります。
ドライバー遺伝子とよばれる、EGFR、ALK、ROS-1のいずれかが陽性となった場合には、対象となる薬剤(EGFR阻害薬やALK阻害薬)を使用します。
ドライバー遺伝子が陰性であった場合には、PDL‐1の発現割合に応じた一次治療が選択されます。
扁平上皮癌と非扁平上皮癌で選択されるレジメンは異なりますが、基本的にはプラチナダブレット(CDDPまたはCBDCA+抗がん剤)による治療が行われます。
2019年12月現在では、非小細胞肺がんの一次治療として、PDL-1発現の有無によらず、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)を含めたプラチナダブレットを使用することが可能です。
非小細胞肺がんの二次治療は?
では非小細胞肺がんの二次治療はどのように行えばよいのでしょうか?
一次治療で免疫チェックポイント阻害薬を使用していない場合、免疫チェックポイント阻害薬による単剤治療(オプジーボ・キイトルーダ・テセントリク)が実施されます。
PDL1発現の有無や病理(扁平上皮癌か非扁平上皮癌か)によって、各免疫チェックポイント阻害薬のエビデンスは異なります。
一方で、一次治療で免疫チェックポイント阻害薬を使用したという場合には、殺細胞性抗がん剤が選択されることになります。
そんな時に使用するのが、今回ご紹介する『DTX+RAM』というレジメンです。
キイトルーダが一次治療で使用されているケースが多いかと推測します。
二次治療でドセタキセルを用いる場合にラムシルマブの併用は推奨されるか?
ラムシルマブの適応となるPS 0-1症例に対して、ドセタキセルにラムシルマブを併用するよう推奨する。
(推奨の強さ2、エビデンスの強さB、合意率74%)
肺癌診療ガイドライン 2018年版には、『二次治療でドセタキセルを用いる場合にラムシルマブの併用は推奨されるか?』というクリニカルクエスチョンが記載されており、PS0-1で75歳未満には、ラムシルマブの併用が推奨されています。
REVEL試験
DTX+RAMの根拠となったエビデンスがREVEL試験です。
REVEL試験とは、DTX単独 vs DTX+RAMの効果が比較された第Ⅲ相臨床試験です。
主要評価項目であるOS(全生存率)は、RAM併用群で優位に延長しました。(10.5ヶ月 vs 9.1ヶ月、HR:0.86、P=0.023)
PFSも有意な延長を認めており、ドセタキセルとラムシルマブの併用効果が認められました。
安全性に関しては、好中球減少、FN、血小板減少、口内炎が、RAM併用群でより高頻度でした。
参考文献≫REVEL study
DTX+RAMのレジメン紹介
ドセタキセル | 60㎎/m2 |
---|---|
ラムシルマブ | 10㎎/kg |
day1に投与、21日サイクル
前投薬・支持療法
- d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
- グラニセトロン
- デキサメタゾン
- ペグフィルグラスチム
副作用
ドセタキセル:DTX
骨髄抑制、悪心、嘔吐、脱毛、倦怠感、末梢神経障害、皮疹、爪の変化、感染、浮腫・体液貯留(胸水など)
ラムシルマブ:RAM
動脈血栓塞栓症、静脈血栓塞栓症、インフュージョンリアクション、消化管穿孔、出血、高血圧、腹痛、疲労
注意事項
- DTX:添付溶解液にはアルコールが含有されている(アルコールフリー製剤もあり)
- RAM:投与時にはフィルターが必要
- RAM: infusion reactionを軽減させるため、本剤の投与前に抗ヒスタミン剤の前投与を考慮
参考書籍:がん必須ポイント
がん専門・認定薬剤師を目指す方や、がん化学療法認定看護師を目指す方におすすめの書籍が、『がん専門・認定薬剤師のための がん必須ポイント 第4版』です。
がん専門薬剤師が10名近く在籍するという、薬剤師界隈では有名な、岐阜県の大垣市民病院が作成しています。
薬剤師が作成しているだけあって、非常に分りやすく、勉強になります。
がん専門薬剤師・がん認定薬剤師の試験対策にはもってこいの一冊です。
ぜひチェックしてみて下さい。