こんにちはHitouchです。
@hitouch_life
Lancetに掲載された論文によると、非糖尿病患者に対するアスピリン投与は、心血管イベントを予防せず、消化管出血のリスクを上昇させました。
アスピリンは今なお多くの患者に投与される抗血小板薬です。
生活習慣病に伴う心血管イベントを予防し、再発を抑制するために、クロピドグレルやシロスタゾール等の抗血小板薬が登場してもなお、アスピリンの市場はどんどん広がっていきます。
アスピリンは、血管障害の予防や治療に用いられるだけでなく、豊かな現代社会にはびこる生活習慣病に対して用いられています。
果たしてアスピリンには、心血管イベントに対するどれほどの予防効果があるのか?
そんな研究が行われました。
Contents
ARRIVE study / 中等度リスク患者に対するアスピリンの有効性
参考文献 ARRIVE study
アスピリンによる心血管(cardiovascular:CV)有害イベントに対する一次予防効果は、一定の結論が得られていない。
ARRIVE試験は、CV疾患の既往がなくリスクが中等度と考えられる患者を対象に、アスピリンによる心血管イベントの予防効果が検討された。
ランダム化・ダブルブラインド・プラセボ対象・他施設・多国籍
方法
- 対象:CV疾患の既往がなくリスクが中等度と考えられる患者
- 薬剤:アスピリン(n=6270) VS プラセボ (n=6276)
- 対象選択基準:男性では55歳以上、女性では60歳以上
- 除外基準:糖尿病患者、消化管出血の既往
評価項目
主要評価項目
心血管イベントが発生するまでの時間
*)CV関連死、心筋梗塞、不安定狭心症、脳卒中、一過性虚血性イベント
副次評価項目
出血性疾患、その他副作用
結果
参加者の75%が降圧薬を服用しており、43%がスタチン系薬を服用していた。
主要評価項目である、心血管イベントの発生率はアスピリン群とプラセボ群とで同様であった。(4.3% 対 4.5%、P=0.6)
初回イベント発生までの期間に有意差なし。
サブグループ(性、年齢、喫煙状態、BMI、ベースライン時点での算出した10年リスクによる)においても、アスピリンから明らかな利益を受けたものはなかった。
消化管出血はアスピリン群でプラセボ群よりも多く発生した。(1.0% 対 0.5%、P=0.0007)
重篤な出血の発生はわずかであった。
とりあえずアスピリンで本当にいいの?
日本では予防的にアスピリンを内服するというのは少数派だと思いますが、アメリカではアスピリンを常用している人は少なくありません。
糖尿病はないけれど、血圧も高いし、仕事のストレスはあるし、ハンバーガーばっかり食べているし・・・
とりあえずアスピリンを飲んでおくか。
そんな服用方法が行われています。
アスピリンはあまりに多くの患者に投与されており、なんのために投与されているのか、という確認を怠りがちではないでしょうか?
心臓カテーテルでステントが埋め込まれているのか?
脳梗塞の既往があるのか?
頸動脈に狭窄があるのか?
末梢血管に狭窄があるのか?
アスピリンが投与される理由が分からなければ、アスピリンによって得られる利益がどれほどのものかは推測できません。
生活習慣病は一括りに考えがちです。
しかし、つきつめて考えると、そのアスピリンは必要のないアスピリンかもしれません・・・
Sincerely,
Hitouch
その給料で本当に満足ですか?
全国の給料水準や薬剤師求人見通しなど貴重な情報が手に入ります。
情報量がものすごい!こちらも必ず登録すべきです。
薬剤師の需要と供給のバランスを把握しましょう。
薬剤師さんに人気の記事
【この記事の編集者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
医療・投資・自己啓発系のライティングを得意とする医療ライター
オススメ HitouchLIFE