米国当局によって、イグザレルトが冠動脈疾患(CAD)または末梢動脈疾患(PAD)を有する患者における主要な心臓血管(CV)抑制の承認を得ました。
参考
Xarelto approved to cut risk of major CV events in CAD/PAD patients
これはファクターⅩa阻害薬において初めての事です。
根拠となる論文はCOMPASS試験という臨床試験です。
CADによる死亡は世界中で年間約730万人と推定されています。
非常に患者数の多いメジャー疾患です。
しかしながらエビデンスのある治療はアスピリンのみであり、新たな治療が待ち望まれていました。
ファクターⅩa阻害薬であるイグザレルトに対する期待は非常に高いものだといえます。
Contents
イグザレルト / リバーロキサバンについて
- 商品名:イグザレルト
- 一般名:リバーロキサバン
イグザレルトはXa因子阻害薬です。
血液凝固に関わる、第Xa因子という物質を阻害する作用があります。
つまり、血液をサラサラにします。
サラサラだとちょっとイメージが違うかもしれませんが、血を固まりにくくすることで、
脳梗塞や心筋梗塞が起こるのを抑えるための薬です。
従来このタイプの薬はワーファリンだけでしたが、ファクターⅩa阻害薬の登場によって劇的に治療が変化しました。
FXa阻害薬(ファクターXa阻害薬)とは
血栓症はなんらかの要因によって血の塊ができ、血管を詰まらせることによって引き起こされます。
人間の体は出血が起こった際に自然と止血する機能があります。
止血という機能にトラブルが生じることで血栓ができてしまいます。
止血には血小板による1次止血と、血液凝固因子が関わることでできる2次止血があります。
2次止血によって形成される血栓をフィブリン血栓といいます。
2次止血をより詳しくみていきましょう。
フィブリン血栓は、内因性(血管内の凝固因子で起こる凝固)と外因性(破壊された組織からの成分から始まる凝固)という2つのルートを経て形成されます。
この2つのルートが合流し、血液凝固因子のひとつである第Xa因子(FXa)によってトロンビンという物質ができあがります。
このトロンビンがなんだかんだフィブリンとなり、血栓を形成することになります。
深部静脈血栓症はこのフィブリンによる血栓の影響が大きいといわれており、疾患予防のためにはフィブリン血栓の形成を抑えることが必要です。
FXa阻害薬は、第Xa因子(FXa)を直接阻害することでフィブリンによる血栓形成を抑えることができます。
その結果、肝心な深部静脈血栓症を抑制できるという薬理作用です。
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COMPASS試験(COMPASS trial)について
COMPASS trial詳細
国際共同第Ⅲ相臨床試験(PⅢ)
被験者数2万7,402人
対象疾患:慢性冠動脈疾患・末梢動脈疾患患者
プロトコール
- リバーロキサバン2.5mg×2/日+アスピリン 100mg×1/日の併用群
- リバーロキサバン5mg×2/日単独投与群
- アスピリン100mg×1/日単独投与群
上記にランダムで割付
プライマリーエンドポイント
- 心血管死亡
- 心筋梗塞
- 脳卒中
結果
アスピリンに低用量のリバーロキサバンを上乗せすることで、心血管疾患の再発リスクが有意に減少した。
- リバーロキサバン2.5mg×2/日とアスピリンの併用投与により、アスピリン単独投与と比べて脳卒中の相対リスク減少は42%、心血管死のリスクは 22%低減した。
- 発現率は低いものの重大な出血事象は増加した。
- 頭蓋内出血や致死的な出血には差がなかった。
結論
慢性冠動脈疾患・末梢動脈疾患患者に対して、アスピリンとリバーロキサバンの併用は、ベネフィットとリスクを総合的に評価した臨床的有用性を 20%改善する事が示された。
Sincerely,
Hitouch「T」
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【この記事の執筆者】
Hitouch「T」
HitouchLIFEという雑記ブログの管理人
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