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オルミエント（バリシチニブ）とは？
オルミエント（一般名：バリシチニブ）は、ヤヌスキナーゼ（JAK）1及びJAK2に高い選択性を有するJAK阻害剤です。
関節リウマチの病態に関与する炎症性サイトカインは、JAK-STAT経路を介してシグナルを伝達することが知られています。
そのため、関節リウマチに関与するサイトカインシグナル伝達経路を標的としたJAK1及びJAK2の阻害剤は、炎症や細胞の活性化 、免疫細胞の増殖を抑制することが可能となり、オルミエントはJAK阻害剤として関節リウマチに使用されています。
オルミエントは腎機能低下患者に使用できるのか？
中等度の腎機能障害のある患者には、2mgを1日1回経口投与してください。
重度腎障害患者に対してはバリシチニブを投与しないでください。
リリーウェブサイト
オルミエントの主な排泄経路は腎臓であり、腎機能の低下に伴って暴露量が増加する恐れがあります。
そのため、腎機能障害の程度によって減量・中止基準が設けられています。
具体的な指標は下記の表を参考にしてください。
| eGFR≧60 | 4mgを1日1回投与 |
|---|---|
| 30≦eGFR＜60 | 2mgを1日1回投与 |
| eGFR＜30 | 投与しない |
適正使用ガイドより
オルミエントの基本情報
効能効果
既存治療で効果不十分な関節リウマチ（関節の構造的損傷の防止を含む）
用法用量
通常、成人にはバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与する。
なお、患者の状態に応じて2mgに減量すること。
薬理作用
JAKを介在して細胞内シグナル伝達を行うサイトカインは、造血、炎症、免疫機能に関与しています。
- サイトカインが受容体に結合
- JAKにATPが結合し、もう一方のJAKをリン酸化し活性化。受容体の細胞内ドメインをリン酸化する
- リン酸化された受容体の細胞内ドメインにSTATが会合する。STATがリン酸化され活性化する
- STATが二量体を形成
- 二量体を形成したSTATは核内に移行し、サイトカインに関連する遺伝子群の転写が亢進
オルミエントはJAK1及びJAK2活性を阻害し、シグナル伝達兼転写活性化因子（STAT）のリン酸化及び活性化を抑制することによりシグナル伝達を阻害します。
薬価
| オルミエント２mg | 2722.7 |
|---|---|
| オルミエント４mg | 5274.9 |
その他注意事項
オルミエントは世界50ヶ国以上で承認されている関節リウマチ治療薬であり、日本でも多くの患者さんのQOLを改善に寄与することが予想されます。
しかし、間質性肺炎などの重篤な副作用や高薬価など、数々の問題も存在しますので、しっかりマネージメントすることが大切です。
専門医のみならず、チーム医療の力が求められる薬剤であるといえます。
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