通常、成人にはリスペリドンとして1回1mg1日2回より開始し、徐々に増量する。
維持量は通常1日2〜6mgを原則として1日2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は12mgを超えないこと。
リスパダール添付文書より
リスペリドン(リスパダール)という薬剤は、統合失調症治療薬です。
統合失調症に伴う精神症状(特に陽性症状)を強く抑制します。
大規模病院や精神科単科病院や、それらの門前薬局ならともかく、一般内科のクリニックで、統合失調症急性期(陽性症状が強く発現している)の患者を診ることは稀だと思います。
それなのになぜか・・・
リスパダールはよく処方されるなぁ・・・
という疑問を感じたことはありませんか?
そんな場合のリスパダールは、『不穏』や『せん妄』に対して処方されている可能性があります。
不穏やせん妄に使用される場合の、リスパダールの使い方をシェアさせていただきます。
Contents
リスパダール(リスペリドン)を不穏やせん妄に使用する!?
不穏やせん妄という病態は、未だエビデンスが乏しい領域の一つです。
精神疾患としての不穏やせん妄だけではなく、年齢や原疾患(がんなど)によってせん妄が出現する場合があります。
それだけではなく、手術や投薬などの臨床的な介入によって出現することもあり、せん妄や不穏というのは、非常に難しい症状の一つです。
そんなせん妄の治療に用いられることがあるのが、リスペリドン(リスパダール)です。
実際に臨床で使用される方法をご紹介します。
【リスパダールをどう使う?】せん妄の治療指針
せん妄の治療指針によると、興奮の有無や、経口投与の可否によって使用される薬剤が選択されます。
内服可能で興奮が目立つ場合
- リスペリドンを0.25~1 mg で開始
- 無効の場合には同量程度を繰り返す
- 夕方以降に内服
- 翌日の投与量は、前日の投与量・効果・副作用をみて決定する
こんなざっくりとした使用法です。
開始用量だけで見ても、0.25と1mgでは4倍の差があります。
こんなざっくりとした使用方法だからこそ、医師がしっかりと個々の患者の症状を捉えて、使用する必要があります。
リスペリドンのメリットは?
リスペリドンには様々な剤形が発売されており、個々の患者に応じて剤形を決められる、というメリットがあります。
リスペリドン投与間隔や1日投与回数の目安は?
不穏や、せん妄に対してリスペリドンが使用されることは分かりました。
しかし、あまりに投与量がざっくりとしていて、投与間隔や、1日投与回数の目安が分かりません。
そこで、がん患者のせん妄に対する治療戦略を確認してみましょう。
がん患者のせん妄にリスペリドンが使用される
せん妄は、終末期がん患者の30~40%に合併するといわれています。
このようなせん妄に対して、リスペリドンのような抗精神病薬が用いられることもあります。
その際の使用方法が、リスペリドンの使用方法を学ぶ上で参考になります。
【頓用の場合】リスペリドン0.5mgから開始
推奨されている初期投与量はリスペリドン0.5mgです。
リスペリドン開始直後は投与約1時間後に評価を行い、効果が乏しい場合は増量し、初期投与量の4倍量程度まで使用します。
さらに・・・
【眠前の定期内服】リスペリドン0.5~3mg
頓用のリスペリドン以外に、眠前の定期内服が併用されることがあります。
定期内服では、0.5~3mg程度のリスペリドンが使用されます。
さらにさらに・・・
眠前定期内服をしていても不穏が増悪したら?
眠前1回分を1時間空けて2~4回まで追加する。
それでも症状がおさまらない場合は、定時処方の増量を検討する。
エビデンスが少ない領域の治療こそコミュニケーションが大切
不穏やせん妄など、個々の患者によって症状が異なり、明確なエビデンスが作りにくい領域の治療こそ、コミュニケーションが大切です。
患者や患者家族との治療方針の共有だけではなく、医療スタッフ間のコミュニケーションも円滑にしておく必要があります。
院内だけではなく、門前薬局とも連携しておくことで、不必要な疑義照会を減らし、患者への服薬指導もより優れたものになります。
転職を考えている薬剤師さんへ
転職というのは大きな人生の転機となる出来事のひとつです。
しかし、転職を繰り返している人に対するネガティブな評価があったというのはもうすでに過去の話であり、現在では「転職経験がない人」こそ厳しい評価を受けてしまう時代に突入しています。特に医療業界や薬剤師業界では、「転職経験がない人」に対する厳しい評価が表面化しています。
一部の大規模病院などでは、その病院に“骨を埋める”ように長く働くことが良しとされています。しかし、転職経験のない30代・40代の病院薬剤師がいざ転職しようとしても、転職先からの評価は厳しいものになります。たとえその病院での実績がどのようなものであろうと、それはあくまでもそこの病院内のみの評価であり、“専門薬剤師”を持っていたところで転職先からの評価は冷たいものになりかねません。
ひとつの会社、ひとつの病院に勤務し、人脈を活用したキャリアプランを考えている人は別として、一般的な薬剤師が転職によって活動拠点を変えるのであれば、「転職の経験」というものが非常に重要になります。
薬剤師の転職市場そのものも激動の時代を迎えており、日々めまぐるしく状況が変化しています。転職を考えている人は、自分で迷わずに、専門家である転職コンサルタントの話を聞いてみると良いでしょう。
仕事が辛い。人間関係が最悪。キャリアアップしたい。給料を増やしたい。
理由は何であれ、「転職したほうがいいのかな?」と感じているのであれば、コンサルタントとはなしてみるのが良いでしょう。
お仕事ラボでは薬剤師専門のコンサルタントに相談することが可能です。
仕事や人間関係に悩んでいるのであれば、一度相談してみましょう。
きっと心が軽くなるはずです。