【薬剤性腎障害の４つの原因】間質性腎炎？アレルギーによる腎障害とは？

こんにちはHitouchの「T」です。
@hitouch_life

読者様からご質問をちょうだいしました。

調剤薬局薬剤師さん

薬剤性アレルギーで腎不全になったという患者さんが来局されました。

アレルギーで腎不全になるというのはどういうことでしょうか？

はいたっち

ご質問ありがとうございます！

おそらく間質性腎炎によって腎機能が悪化したのではないかと推測します。

間質性腎炎についてご紹介させていただきます。

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はいたっち

いつもご質問ありがとうございます！

順番に回答させていただきます。

薬剤性腎障害の４つの原因

薬剤によって腎機能に障害が現れることを、薬剤性腎障害と一括りにしがちですが、その要因は様々です。

薬剤性診療ガイドライン（参考書籍の詳細»薬剤性腎障害診療Q&A）によると、薬剤性腎障害の成因は大きく４つに分類できるとされています。

• 中毒性腎障害
• 急性間質性腎炎
• 尿路閉塞性腎障害
• 電解質異常など間接的要因

このなかで急性間質性腎炎といわれる腎障害は、アレルギー機序によって発症します。

薬剤に対するアレルギー機序で発症する腎機能障害は、用量非依存性であるということに注意が必要です。

つまり…腎機能障害がアレルギー反応によるものの場合は、当該薬剤を減量したからといって良くなるものではありません。

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急性間質性腎炎の症状や病態は？

急性間質性腎炎は、原因となる薬剤に暴露することで発症します。

具体的な症状としては、 発熱、湿疹、関節痛や腎臓の腫大による腰痛がおこります。

多尿や頻尿など、腎機能障害を示唆するような所見も確認できます。

急性間質性腎炎の治療は？

原因と考えられる被疑薬を速やかに中止することが基本です。

免疫学的機序を介したアレルギー反応ですので、事前に発症を推測することは困難です。

そのため、いかに早く異常を発見し、診断に繋げるかということがとても重要です。

ステロイド治療は？

被疑薬中止においても腎障害が遷延する際はステロイド療法を検討してもよい。（エビデンス弱い）

薬剤性腎障害治療GL

ステロイド治療に関しては『考慮しても良い』というレベルに位置づけられています。

被疑薬の中止後 2 週間以上経過してからのステロイド療法は、腎機能改善に与える効果が少な いという報告がありますので、注意が必要です。

何よりも…一刻も早く当該薬物を中止することが大切です。

(参考文献：Gonzalez E, et al. Early steroid treatment improves the recovery of renal function in patients with drug‒induced acute interstitial nephritis. Kidney Int. 2008;73:940‒946.)

急性間質性腎炎の予防は？

アレルギー機序による急性糸球体腎炎は、薬剤の投与量や投与方法、投与期間などにかかわらず発症します。

加えて、事前に急性糸球体腎炎の発症を想定することは難しいので、予防策をこうじることは困難です。

重要なこととしては、アレルギーや過敏症の既往歴を必ず確認することや、過敏症の既往がある薬剤は避けること、同系統の薬剤もできる限り避けることなどが考えられます。

【まとめ】急性間質性腎炎に注意すべき薬剤一覧

急性糸球体腎炎（アレルギー機序による腎障害）に注意すべき薬剤をご紹介します。

抗菌薬（ペニシリンなど）

抗菌薬は間質性腎障害を発症しやすい薬剤のひとつです。

抗菌薬は全身状態が不良な患者に投与されることも多く、腎機能の低下が、薬剤性なのか、感染症によるものか、脱水によるものかという見分けがつきにくく、難しい薬剤だといえるでしょう。

H2ブロッカー

H2ブロッカーは腎機能に注意ということは薬剤の“あたりまえ”ですが、H2ブロッカーによって間質性腎炎がおこることはあまり知られていません。

H2ブロッカー開始後、劇的に体調が悪くなるなった場合は、腎機能障害を疑って検査をすることをオススメします。

NSAIDs

ドラックストアでも購入可能で、汎用されているNSAIDsにも間質性腎炎の副作用が存在します。

自分に処方された薬剤であれば問題ありませんが、家族や友人に『ロキソニンいる？』と勧めることは控えたほうがいいでしょう。

大切な人の腎臓を『アナタの手で』破壊するかもしれません。

抗リウマチ薬・抗腫瘍薬（抗がん剤）

抗リウマチ薬や抗がん剤でも間質性腎炎を発症することがあります。

これらの薬剤はその特性上、『直接的な腎機能障害』を惹起することも多々あり、アレルギー反応との鑑別が非常に難しいです。

アレルギー反応の場合は用量非依存性であることに注意して治療戦略をたてることが大切です。

はいたっち

以上！

アレルギー機序で発症する薬剤性腎障害の解説でした！

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ABOUT ME

瀬古高行

医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。